『ソープで手コキ』
確かアレは新宿のドンファンだったかはたまた吉原のどこかの店だったか定かではないがとにかく5万円の高級ソープだったと記憶している。
当時俺はイヤというほどSEXばかりシテいて純粋なカラダの反応を求めていた。
SEXには精神的な部分や相手が関係してくるワケで純粋なカラダとしての快感に飢えていたのかもしれない。
お金を払うからそーいうしがらみがない純粋にすけべなだけの時間を求めてさまよっていた。
その時たまたま入ったソープにて歳の頃は20代後半のヘルスからソープに流れてきた子に出会った。
見てくれもまあ普通の女性だったが俺はその時その子に非常に興味を持った、まずハナシが面白いのだ。
そこそこすけべで冷めているというか割り切った子でいや、割り切れていない加減がちょうどイイ女性だった。
なぜ俺が興味を持ったかといえばいい加減での控えめさと大胆な言葉での誘導にあった。
南智子という偉大な言葉での誘導をする女性を知っていたが彼女よりも自然に感じられた。
南智子はパフォーマンスとしては絶大な効果を発揮していたが俺のような海千山千にはどこかムリしてる内面が感じられて底が透けて見えてしまい違う感情を喚起させられてしまったのだが
この時の女性からは普通の女性としてのすけべのイタズラ心が感じられて俺は最初のカラダを洗ってもらっている時から感動してしまっていた。
そして手コキによる愛撫をされている時点でもうすでにこの子となら「結婚してもイイ!」と思ってしまった。
モチロン俺自身はそう思っても実際はドライに対処しているんだが時々では真剣に思うのだ。
そして真剣に思うのはそれはそれで実に稀なことなのでこうして記憶に残っている。
その子の手コキは、テクニックもさながら言葉で誘導していく部分に重きが置かれていた。
それは彼女としてはここでイカせるつもりはなくその後の本番にて最高の射精を、という組み立てだったのかもしれない。
手コキをイイところでセーブしてジラすのだ。
俺がイキたいと思うように誘導しそしてスカす。
そのスカしかたにも愛情が感じられ俺はその子をどんどん愛おしく思えてきた。
当然恋愛関係なワケではないから俺はその愛おしさの持っていき場所を探す。
それで射精になるのだ。
相手のために射精スルという感覚を覚えたのはこの事がキッカケだったかもしれない。
南智子の時は俺が受けた気持ちよさの同じ分だけお返ししなければと在る種の意地みたいな状態になってしまっていたかもしれない。
お店とAVの現場では状況も違う、そして状況が変われば行われている事の意味も変わってくるのだ。
何度もジラされイキたいのにイカせてもらえないを繰り返し俺は身心そういつな状態だった。
彼女はそろそろ本番しようと思っていたが俺がそれを許さなかった。
「貴女は素晴らしい!本番しないでこのまま手コキを続けて欲しい!!」
「えー!手コキがイヤだからソープに来たのにw」
こんなやりとりをハッキリ覚えている。
「いやいや貴女の手でこのまま終わらせて欲しい。本番いらないから」
「なんで高いお金払って本番しないのお~?だったらヘルスに行けばイイのにw」
「貴女がヘルスにいたらヘルスに行ったさ、なれど貴女はソープにいた。誰でもイイわけじゃないんだよ、貴女にイカせてもらいたいって思っちゃったんだから仕方ないでしょw」
このやりとりで彼女がどー思ったかはわからない。
けれど彼女は少なくとも喜んでいたように感じられた。
俺の哀願を受け入れてくれ彼女はその後も地獄と天国の快感を俺に与えてくれた。
それから俺もジラしをスルようになったんだと思う。
ジラしにジラされ俺は思いっきり果てた。
彼女は自分も楽しかったし本番もシテないからお金貰えないと言ったが俺はお金をむりやり渡した。
「対価とはその満足度に値したかどうかなんだから、俺は最高に気持ちよかったよん♪」
彼女は笑いながらお金を受け取った、清々しい笑顔だった。
あの狂おしい快感を俺に与えてくれるような子とはその後出会ってはいない。
そしていつの日か又そのようなヒトに出会える事を祈って俺はエロい事を続けてイクだろう。
太賀麻郎
AV男優、AV監督
1980年代、絡んだ女優たちはエクスタシーを感じて、「もう一度会いたい」、「セックスしたい」と訴えたほど。
過去5000人の女性に“抱かれてきた”伝説の男優。うち3000人以上はプライベートでのセックスとなる。
著書に『無重力セックス』『東京ルノアール』イーストプレス『AV黄金時代 5000人抱いた伝説男優の告白』 文庫ぎんが堂